来たる23日!ワクワクすっぞ!【ヴェネチア・ビエンナーレ】
今日は22日!
ということは明日は23日!当たり前です!
何が言いたいかといいますと…
23日からついにヴェネチア・ビエンナーレ開幕です✨
私は2017年度のヴェネチア・ビエンナーレに行ってきましたよ!
そしてそしてー!
関西でも23日から新しい企画展がスタートするところ、いと多しです!
本日はヴェネチア・ビエンナーレについて少し。
簡単にいうと美術・建築のオリンピックみたいなものです!
世界中にビエンナーレの名前を冠するものは数あれど、ヴェネチア・ビエンナーレがその始めなんです。
その歴史は古く、1895年から美術部門と建築部門とで交互に2年に1度ずつ開催され続けています!
その歴史の中では勿論、その当時の現代アーティストであったセザンヌやルノワール、ピカソ、クリムト、そして横山大観、岡本太郎、棟方志功(棟方さんは国際版画大賞いわゆるグランプリ受賞!)らも参加しています!
(ちなみにビエンナーレとは2年に1度という意味のイタリア語で、トリエンナーレは3年に1度です^^)
がしかし!
此度はコロナのあほぽんたんが大暴れしたので1年延期となって今年開催となったのです。
ポジティブに考えるとするなら、ドイツで5年に1度開催されている「ドクメンタ」(6/18〜9/25)と同時開催になるってことですかね!ヨーロッパがアツい!
というか○年に1度が乱立してますね!笑笑
だから忙しいのだ!!
世界各国の選ばれし現代アーティスト達が一同に会し、魅せあう美しさと白熱さといったらもうオリンピックにも負けてませんよ!もっとTVとかニュースで放送してよ!
今回のキュレーターはチェチリア・アレマーニ氏
なんとヴェネチア・ビエンナーレ史上初の女性キュレーターです!
残念な話もあります。
それは私が勿論ベネチアに行けないことも残念なことですが、何より現在進行中のあの戦争です…
ロシアの3人のアーティスト達は自国によるウクライナ侵略に反対表明するために、
ミサイルの攻撃で市民が死んでいるとき
ウクライナの市民が避難所に隠れているとき
そしてロシアの抗議者が沈黙しているとき
何も言うことはできない
芸術に居場所はない
ロシアの生まれの身として、私はヴェネチア・ビエンナーレで作品を発表しません
(キリル・サフチェンコフのインスタグラムより)
と声明を出し、参加辞退を決めたのです。
この勇気ある選択に開催側も以下のコメントを出しています。
ビエンナーレは彼らの勇気ある行動に対し連帯を表明し、この決断に至った動機に寄り添います
ビエンナーレは、今後も芸術と文化の中で人々が出会う場所であり続け、対話と平和を妨げるために暴力を行使するすべての人々を非難します
そして、
ビエンナーレが「あらゆる国、言語、民族、宗教の機関、アーティスト、市民の間の対話の場であり続ける」との姿勢を見せており、最短での平和的解決を望む
とし、ウクライナへの全面協力を表明。
本当にもう一刻もはやく終わりますように…
美術史の中でも戦争によって失われた過去の偉大な作品や建築、文化、芸術があります。
進歩を止められた時期も沢山ある。
人々の心が豊かでないと芸術は育ちません。
ゲルニカは間違いなく傑作であるし、ずっとずっと後世にまで伝えていかなければならない名画のひとつです。
ですが、いつまでも称えられ、デモの中で掲げられていることはピカソも望んでいないと思う。
艦隊ではなく、美術館を。
戦争ではなく、平和を。
始まりと終わりでテンションがだいぶ変わってしまいました(笑)
ちなみに日本でもビエンナーレ、トリエンナーレなる国際美術展があります!
瀬戸内国際芸術祭は中でも知名度が高いのではないでしょうか?
こちらはもう春の部が始まってますね!(4/14~5/18)
夏や秋になれば他の国際美術展も続々と開催されていきますよ!
現代アートは肩ひじ張らず、子供になった気持ちで楽しむのが秘訣です♪
・瀬戸内国際芸術祭2022
春:4/14~5/18
夏:8/5~9/4
秋:9/29~11/6
・あいち2022「STILL ALIVE Aichi Triennale」
7/30~10/10
・岡山芸術交流2022
9/30~11/27
・BIWAKO BIENNALE2022
10/8~11/27
【アルノルフィーニ夫妻の肖像】ヤン・ファン・エイク②
さてさてヤン・ファン・エイクの傑作の中でも忘れてはならないもう一枚をご紹介!
ジャジャン!
アルノルフィーニ夫妻の肖像です!
《アルノルフィーニ夫妻像》ヤン・ファン・エイク|MUSEY[ミュージー]
驚くべき精巧さ。
手を伸ばせばその部屋の中の物を手に取ることができそうなくらい!
ワンちゃんは何犬なんでしょ…笑
テリアの雑種…?
まあそれはさておき、
この絵を目にした当時の人たちの驚きは想像に難くありませんよね。
むしろ引いてたくらいかも。
イタリアの商人アルノルフィーニさんが今でいう出張でネーデルランドに花嫁のチェナミさんと来ていた時にヤンファンエイクに頼んだ肖像画だそう。
ブルジョワの匂いがぷんぷんします!
この絵は2人の婚約式の瞬間を描き留め、この大切な瞬間の証人としての役をも受け持っているといわれています。
今でいう市役所の特設スペースで写真撮るみたいなもんでしょうかね!
この絵のちょうど真ん中にかかっている鏡を拡大してみると…
完全に鏡そのものヤンファンエイクに隙はない!
拡大すればするほどわかる凄さです。
ちゃんと夫妻の後ろ姿があり、そしてヤンファンエイクらしき画家の姿も映っています。
窓の外の景色もちゃんと鏡にそって湾曲して遠近法がなされ、調度品も鏡に映したものを写真におさめたかのよう…!
鏡の周りの縁の部分には飾りがあるのですが、キリストの生涯がきっちし描き込まれています。
どんだけ細かいんだ…
81.8×59.7のサイズなのでそんなに大きくないのにも関わらずにです。
凄まじい集中力…
プライベートはどんな人物だったんですかね。
多分、突然変なところでこだわりとか持ってそうですね(偏見)
しかもそれに執拗なくらい執着したりね(偏見)
鏡の上に字が書かれていますがこちらは
"Johannes de eyck fuit hic"
ヤン・ファン・エイクここにありき
と書かれています。
先ほどの婚約式の証人とすると、法的な契約のサインと考えたらよりしっくりきます^^
提出完了受理されました!
目に映るとおりの現実を描くという革命的なことをフランドルにおいて成し遂げた彼の精神力もなかなかにタフだったのでしょう。
絵画は、聖書の物語を感動的に伝えるのに役立つだけでなく、現実世界の断片を鏡のように映しだすことにも使える
(美術の物語)
この考え方はこの先の芸術の世界に大きな影響を与えました。
あらゆる時代において革命の始まりはかなりの抵抗を生むものでありますが、流れが変われば一気に怒涛の速さで物事が新しい方向に進みはじめます。
アルノルフィーニ夫妻の肖像は、ロンドンのナショナルギャラリーの秘宝なのでこれまた日本にやってくることはこれから先もほぼほぼ無いといえそうですね…
ナショナルギャラリーといえば!
2020年には上野の国立西洋美術館に2020-2021にかけては大阪の国立国際美術館にてロンドン・ナショナル・ギャラリー展が開催されて大いに盛り上がりましたね!
いやーでも早くまたロンドンに行きたいな!
航空費はかかりますが…
ナショナルギャラリー然り、大英美術館もテートブリテンも、そしてV&A博物館も…あげていったらきりがないくらいロンドンのアートスポットは充実していて時間が足りません!
前に行ったときも、ロンドンの食事のまずさを気にする暇もなかったです(笑)
しかも入館料は上に挙げた所はもちろん、基本的にどこも無料のところばかりです✨
ちなみに、V&A博物館の分館がダンディというエジンバラよりもさらに北に開館したんですが、この建築をね!あの隈研吾さんがね!設計なされたのですよ!!
隈研吾建築ハンターを人生の目標に掲げた私としてはね、いつかは行かないと!ね!
油絵の創設者ヤン・ファン・エイク①
ヤン・ファン・エイクという画家はご存知でしょうか?
その前にその時代について少し…
ジョット・ディ・ボンドーネという偉大な画家(作品はほぼ残っておらず、かつての巨匠達によってジョットの真筆といわれていた作品も最新の科学検証によると違うという…うーんどうなんでしょ)が13世紀のイタリア美術に革命をもたらし、そこからじわじわと古代の再生、そう「ルネサンス」の考え方が広がっていったんです!
ちなみにジョットと同じくフィレンツェで同時代に生きた詩人のダンテの「神曲」にも彼を讃する文が出てきます。
時は進み15世紀前半。
特にフィレンツェでは、芸術の再生に情熱を傾けることに皆が一生懸命になり、古代ギリシャ・ローマの研究をし、科学をも習得していきました。いわゆるルネサンスの本格始動です。
誰もがうんうんと頷く天才達が出現しにしまくったルネサンスのピークである16世紀までまだもう少し…!今さら応援しても意味ないけれど、ファイトだ!笑笑
今まで完全に他国に遅れをとっていたイタリア美術がここから芸術の中心となっていきます!
しかし同時期に北方でも同じ動きが始まっていました。
そしてここで登場ヤン・ファン・エイク!
その当時のネーデルランド(現ベルギー領)にて活躍していた彼が偉業を成し遂げ、その後にも多大な影響を与えていきます。
分かりやすいことで言うと、油絵の創始者が彼です!
これだけでもとんでもないですね。
それまではテンペラといって、色の素になる植物や鉱物を石臼でひいてから卵をいれた液体で混ぜて絵の具を作っていたんですが、これがまあすぐ乾くし、微妙な色から色への変化をつけることができなかったそうです。
そこで、ヤン・ファン・エイクは卵の代わりに油を混ぜてみたんです。
すると光沢のある色が作れ、塗り重ねて透き通る釉薬のような層も作れることができ、扱いも非常に簡単になりました。
このおかげでまるで鏡に映したかのような表現を可能にしたのです!
勿論一気に油絵が広まりました。
上の写真のゲント祭壇画ですが、なんと13回もの犯罪と7回の窃盗に遭っているそうです…
何度も戦争に遭い、ヒトラーにも押収されたり、国から国へあっちいったりこっちいたりというなかなかの波瀾万丈ぶり。最後は岩塩窟に隠されていたそう。
なんとまだ見つかっていたない部分もあります…
縦3.75m 横5.7mの超特大の祭壇画。
遠くからでも信者たちに伝わるようになっています。
日曜祝日は上のように開き、平日は下のように閉じてあるそうです。
2020年に修復が完了し、元の場所にもどってきたのですが…
!!!!!!!!
これは一時期話題になっていた人面子羊(笑)
左が修復前で、右が修復後です。
これを天国から見たヤンはどう言ってるんでしょ?笑
整形に失敗してしまったかのよう…
ちなみにこの祭壇画は兄のフーベルトによって着手され、弟のヤンによって完成されたものといわれています。
とにかく現実と向き合って、執拗なほどの観察を持って描き込まれています。
左上の聖歌隊の口の動きで信者たちはどの聖歌のどの部分を歌っているかまで分かるとか…
馬の毛の1本1本も数えられそうだし、人々の衣服のひだなんかもとても自然。
ついこないだまで知られていなかった遠近法も完璧です。
そしてそれらが技術を見せびらかしているかのようには感じられないところが美しい。
こちらは絶対に日本には来ないと言い切れるので、また行けるようになったらすぐにでも会いに行きたい名画のひとつです^^
聖バーフ大聖堂はさることながら、フランドル絵画が豊富なゲント美術館も必見です✨
ゆるふわの仙厓 福岡市美術館
今日は脱力系でいきたいと思います!
はい、可愛い~~~
仙厓義梵(センガイギボン)によって描かれたワンちゃんです。
仙厓は岐阜で生まれ、博多にて活躍した禅僧ですが、還暦を過ぎたあたりから絵や書を本格的に始めたそう。
にしてもゆるふわの極みです!
なんですかこのフォルム!そしてどこにくくりつけられてるんですか!きゃふんって鳴いてますやん!
同じく福岡市美術館に所蔵されている作品
「あの月が落ちたなら誰にやろふかい」と書かれています^^
すっぽんぽんで手がカニの子供たちがそれを聞いてはしゃいでいますね(笑)
お尻かわいい~~~っ
ちなみに満月は禅の世界では悟りを意味しています。
それだけ悟りの境地は遠いんですね~。
そして描かれてはいないお月様を指さしていることで、こっちが勝手に脳内で想像しちゃうので絵のスケールも広くそして自由になりますね!
しかし!真の素人画として江戸時代に仙厓ブームを巻き起こしていた彼ですが、
どうですこの差!同じ布袋さんですよ!
いやいや上手すぎるでしょう!
とても同じ人が描いたとは思えない仕上がり!
あの絶妙なタッチはこの確固たる土台の上でこそ成し遂げられたことなんでしょう。
70代で自分の絵には決まりがなく自由である!という意味の「厓画無法」を宣言し80歳を超えてもその人気は衰えることなかったという仙厓。
なかなかなハードワーク状態です。
ひっきりなしに皆が家に絵を依頼しにきて紙を置いていくさまを見て、
「うらめしや わが隠れ家は雪陰か 来る人ごとに 紙おいてゆく」
という歌を詠んでいます。
意味は「わしの家はおトイレか!」ってツッコんでいる歌です(笑)
それではこちらも同じく福岡市美術館蔵のもの
「これ食ふて御茶まひれ」
と書かれているその横の〇はお餅だそうです!
絵にかいた餅とかけたのでしょうか?
ただしゅるっと丸を描いてあるだけのはずなのに、仙厓が描くと美味しそうに見えてきちゃいますね^^
ある意味とても日本的な仙厓の絵。見れば見るほどハマってしまいます!
さすが博多で活躍した仙厓の作品なだけあって、福岡市美術館にはたくさんの仙厓の書画が所蔵されています!
2023年の2月まで仙厓展もやってますのでね!
相国寺承天閣「王朝文化への憧れ」Ⅰ 期目
美術館はたいてい月曜日が休館日なんですが、こちらは年始年末と展示入れ替え期以外はずっと開いております!
館内入り口にはもう新緑の青紅葉が✨
さて、こちらでは現在「王朝文化への憧れー雅の系譜ー」が開催中です。
Ⅰ期は2022年3月20日~5月15日
Ⅱ期は2022年5月22日~7月18日
相国寺は、明徳3年(1392年)に夢窓疎石を開山とし、室町幕府第3代将軍足利義満によって創建された臨済宗相国寺派の大本山です。
そして相国寺創建600年記念事業の一環として、昭和59年4月に本山相国寺・鹿苑寺金閣・慈照寺銀閣・他塔頭寺院の美術品を保存、修理、研究調査、そして禅文化の普及を目的として展示公開されるために承天閣美術館が建設されたとのことです。
こちらには国宝5点、重要文化財145点が所蔵されています!
今展示では、雅といえば!な平安時代に憧れを抱いた江戸時代に、後水尾天皇を中心に巻き起こった京での王朝文化復興期にまつわる作品が目白押しです♪
まずは、何世代もの時を超え現代でも人を虜にしてやまない「伊勢物語」と「源氏物語」にまつわる展示に始まり、和歌の世界、そして最後は相国寺と禁裏に伝わる美術品の数々が展示されています。
岩佐又兵衛といえば、戦国武将荒木村重の息子でしたが、2歳の時に織田信長に攻められ落城し、京に逃れてから母方の姓である岩佐を名乗り、絵師として独立し江戸時代初期に活躍した絵師です。
圧倒される緻密な描きこみと豊かな表現力によって浄瑠璃の世界観を巧みに絵で表現し、のちに近松門左衛門が絵師を主役とした浄瑠璃「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」のモデルにもなりました。
浮世絵の元祖ともいわれていますね。
はっ!このままでは岩佐又兵衛特集の回になってしまう!!!
ここら辺にしておきます…
岩佐又兵衛による傑作「小栗判官絵巻」は宮内庁三の丸尚蔵館にありますがこちらもいつかぜひ!
さてもどります!
伊勢物語からは「布引の滝図屏風」六曲一隻
伊勢物語の主人公といわれている在原業平とその兄行平が布引の滝を見ながら、宮中に生きる苦しみの涙を滝に擬えているまさにそのシーンが描かれていました。
https://www.shokoku-ji.jp/museum/exhibition/miyabi/
源氏物語からは狩野常信による「源氏物語図屏風」と、土佐派による「源氏絵物語図屏風」が並べられていました。
常信による源氏物語図屏風の縁には葵の御紋が!
やまと絵の土佐派の金泥の雲(源氏雲)には細かな模様が施されている豪華さ!
それぞれの物語の場面を右隻から左隻へ移るにつれ自然と源氏雲で区切っているさまは、現在のドラマのダイジェスト動画のよう^^
絵巻というものは空からの視点になっていて、屋根がとりはらわれ家の中を覗くような構図になっていますよね。
これは吹抜屋台と呼ばれる手法です^^
あと登場人物は皆たいてい表情がよめない顔をしていますが、これは引目鉤鼻と呼ばれるもので、あえてそういう風に表情から心情を読めないようパターン化し、そして柱や畳といったもので人間関係や登場人物の心情を表現しているんです!
まあまわりくどいことです!奥ゆかしいともいえるのでしょうか…
でもこういうのって西洋美術史のなかでも起こっていることで、そう思うと人類みんな繋がっているんだなあ、なんて感じたりします。
あとは人を描かずに人の気配を感じさせる留守模様という技法が盛り込まれた意匠のこった蒔絵手箱(化粧道具などを仕舞うための入れ物)なども非常に美しかったです^^
題材が夕顔なのでちょっと不穏な感じでしたが。
Ⅱ期では俵屋宗達の「蔦の細道図屏風」が展示されるそうです!
これも観たい!!
源氏物語図屏風は両者とも続けて展示されるそうですが、伊勢物語の布引の滝図屏風は今期限りだそう。
あと、尾形乾山の「色絵龍田川透かし鉢」も今期限り…!
今見てもお洒落な鉢。在原業平の有名な竜田川の紅葉を詠んだ和歌が題材になった逸品です。
足を進めると、お兄さんの尾形光琳の作品「中明石左右須磨鳴門図」も登場します!
そしてこちらも今期だけの展示になります…!
琳派節はなりをひそめ、のほほんとした三幅の掛け軸で塩を焼いているおじいちゃんがいい味を出してました^^
その隣には狩野探幽の「富士三保松原図」が毅然とかけられており、豪華な面々の競演にテンション上がります!
しかもそのすぐそばには常設である伊藤若冲!
鹿苑寺大書院障壁画より「月夜芭蕉図」「葡萄小禽図」がどどんと!
いやあ~でっかい。でっかいですよ壁画ですから当然ですけど。
こちら重要文化財となってます!
応挙の孔雀はいつだろうな…
見たいなー!
大丈夫ですか?字が続いてますが疲れてませんか?
どうもできないんでとりあえず目に優しい緑を…!
もういっちょ!
墨蹟(僧が記した書)も多く、また相国寺に和歌の神様でもある藤原定家が眠っていることから、和歌を書き留めた貴重な数々も多く、なかなかにおなか一杯になる内容となってました。
藤原定家の位牌まで展示されてあったので思わず手を合わせました…
個人的に第一展示室にある、金閣寺境内に実際にある「夕佳亭」が再現されたものがお気に入りでもあります^^
家の一角にこんな部屋があったらな…なんて。
さささ、この辺にしておきましょうか!
今日は平日だったのもあるかとは思いますが人は少なかったのでゆっくり自分のペースで見れるんではないでしょうか。
拝観料 一般 800円
65歳以上 600円
中高生 300円
小学生 200円
あと、相国寺では現在春の特別拝観中です!(6月5日まで)
こちらでは狩野光信による「鳴き龍」に会えます!
では、おしまーい!!
皆さんもぜひ訪れてみて下さいね♪
今回は長すぎましたね(笑)
お疲れさまでした!
【智積院に並ぶ国宝】長谷川等伯、久蔵親子の楓と桜
むかーしむかし、群雄割拠の世の中にて活躍した一人の絵師がおりました。
絵師の中でもその頃は狩野派とよばれる軍団が圧倒的な力を誇っており、大きな仕事は全てかっさらい織田信長や豊臣秀吉からも重宝され、世の名声を欲しいままにしていました。
狩野派の中でも特に天才と謳われていた狩野永徳が党首となっていた狩野派黄金時代、能登の七尾から33歳の時に上洛し、一代でその永徳率いる狩野派をも脅かし強大なライバル絵師となった人こそ長谷川信春。
のちの名を長谷川等伯といいました。
と、いうわけで!
本日は私の大好きな長谷川等伯、そしてその息子である長谷川久蔵について書いていきましょう!
等伯の生涯はまだまだ謎が多いですが、簡単に紹介を。
もとは能登の戦国大名畠山氏に仕える下級武士の家の生まれでしたが、染め物屋の長谷川宗清の養子として引き取られました。
養父の宗清は仏画を描いており、そこで等伯(信春)は絵と出会ったそうです。
信春時代のその頃に描いていた仏画は現在、石川県七尾美術館(石川県七尾美術館 – ISHIKAWA NANAO ART MUSEUM)に多く所蔵されています^^
一念発起して上洛した彼は、大阪は堺の油屋出身で本法寺住職である日通上人と交流を深め、そこから誰もが名を聞いたことがあるでしょう千利休と出会います。
この出会いが信春から等伯と名乗るきっかけとなり、狩野派と対等に渡り合っていく波乱の人生のきっかけだったといえます…!!
千利休は等伯の絵師としての才能を見込み、大徳寺に寄進していた「金網閣」の天井と柱の装飾画、そして塔頭三玄院の障壁画を依頼しました。
大徳寺なんて京都の名刹で狩野派ではなく、それもまだ有名ではなかった一人の絵師がこんな大仕事を託されるなんてとんでもない大事件です!
永徳プンプンですよ。
さらに永徳を刺激することに、この千利休から引き受けた仕事は大成功をおさめ、一躍有名絵師長谷川等伯として名を馳せることになりました。
ここから永徳とは血は流れない死闘を繰り広げていくことに…
等伯の数ある傑作の中でも今回紹介するのは、京都の東山地区にある智積院にある国宝「楓図」そして久蔵の「桜図」
桜図は久蔵25歳の時の作品ですが、なんとこの傑作を生みだした翌年に不慮の死を遂げ散りゆくことになりました…
(真相は定かではありませんが、狩野派の妬みから殺された説も…)
そして息子の死を弔い書き上げたといわれる父、等伯の楓図。
こちらが智積院の収蔵庫で寄り添うように並べられています。
もう目にした瞬間に胸に込みあげてくるものがあり、久蔵の画面から溢れださんばかりの満開の瑞々しい桜に並び、楓のどっしりとした古木が画面いっぱいに力強く枝を伸ばしている姿が何とも呼応しあっていて圧巻の一言です。
桜には日本画で使われる胡粉(貝殻を砕いてつくる)が塗り重ねられていて、それが金箔によって反射すると美しい陰影が浮かび上がり、立体的に見えるというものなんですがこれがまた難しい技法なのだそう。
しかもそれが数百年経った今でも剥がれ落ちることなく花を咲かせ続けていることは摩訶不思議…!
等伯の人生は生きていた時代も合わさって本当に波乱万丈なものでした。
世の有名な絵師としては珍しく、絵以外のことに対しても人が出来ているなあと色々読んだ中で感じてなりません。
人の命の儚さを身をもって何度も経験し、その全てを背負い弔うことを絵に込めていたという等伯にしか書けないそこはかとなく漲る力強さとそこはかとなく漂う無常感。
等伯の最も有名な一作「松林図屏風」(東京国立博物館蔵)なんてその頂点にあるなと。
なかなか展示されるタイミングが少ない一作ですが、こちらもぜひ皆さんに見ていただきたい!!!
こちらもまた別の機会にたっぷり紹介したいと思います♪
智積院の拝観料は一般500円
拝観時間は午前9時~午後4時まで
収蔵庫内は撮影不可となってますが、利休好みの名勝庭園前の大書院にはその複製障壁画が飾られています。こちらは撮影可となってますがやっぱりなんといいますか…本物を観たあとでは少し冷たさを感じます…ね
また明日~!
今日もお付き合いありがとうございました!
超コレクション展 第3章 Hello! Super Visions【過去美】
前回、前々回に渡って大阪中之島美術館のオープニング記念展「超コレクション展」の第1章、第2章を紹介してきました!
今日は最後の第3章です☆
第3章 Hello!Super Visions
こちらのゾーンでは、19世紀後半から1980年代までのポスター、リトグラフ等のグラフィック作品や家具などが展示されています。
まずはなんといってもロートレック!
もともとこちらはサントリーホールディングスの所蔵作品でしたが、大阪中之島美術館に現在は寄託されています。
しかもこちらの1枚は、ロートレックの名を一躍有名にしたもので、その中でも最後の刷りまで完了されたひっじょ~~~に貴重なものとなってます!
(こちらも撮影可!)
ロートレックはフランスで最も古い歴史を持つ貴族の家系で生まれました。
しかし14歳の時に椅子から落ちて右大腿骨を骨折し、その翌年に今度は溝に落ちて左大腿骨を骨折してしまう悲劇が…
この怪我によってロートレックの下半身の成長がとまってしまったのは有名な話…。
名門な家だけに近親婚が多く、彼の両親もいとこ同士だったことでもともと骨が弱く産まれたそうですね。
カルシウムが追いつかないわけだ…
彼の父親や祖父も絵が上手く、そこから影響を受け絵を描き始めたそう。
それから17歳の時にパリのフェルナン・コルモンの画塾でエミール・ベルナール、ゴッホらと知り合い大きな刺激を受けることになります。
そして同時期にジャポニズムブームの最中において、浮世絵や七宝焼きなどを目にしてこちらからも作風に大きな影響を受けます。
そしてかの有名なムーラン・ルージュに入り浸りそこで踊り子たちのスケッチを始めます。
それが目にとまり、ポスターを石版画刷り(リトグラフ)で制作することになりますがそれがこの有名なムーラン・ルージュシリーズ!
どうでしょ?どことなく浮世絵の雰囲気が感じられませんか?
絵の中に字を組み合わせたり、黒いシルエットの男性を主役の踊り子の前に横切らせたり、シンプルな線をもって人物の躍動感を表現していたり
ロートレックが好きすぎるあまりだいぶロートレックにさいてしまいました(笑)
この他にも日本人大好きのミュシャの作品も勿論あり、そしてピエール・ボナールによる面白い作品がこちら
https://nakka-art.jp/untold-99-stories/story03.html
完全に屏風です。四曲一双の屏風です。
以前、アサヒビール大山崎山荘美術館の春のコレクション - 美術幼稚園にて紹介した時にも書きましたが日本かぶれのナビ派と揶揄されているぐらいには日本の文化に夢中だったそうです^^
ナビ派とは、ゴーギャンに影響を受けたポール・セリュジエが発起人となって結成されたグループで見た目は平面的な色や輪郭が特徴的。ちなみに思想も強めの集団でした。
自分たちだけで通用する言葉を編み出したりもしていたそう…
そしてそして、まさかここで会えるとは思ってなかったオーブリー・ビアズリーのポスターもありました!
イギリス世紀末の唯美主義、耽美主義を代表するビアズリーの作品はその当時悪魔的人気を誇っていたオスカー・ワイルドの「サロメ」の挿画で一気に世間を騒がせますが、このあと25歳で儚くもこの世を去りました…
彼の描く蠱惑的な世界は本当にいつの時代にみても人を虜にする力があるんじゃないかな。
さてさて家具です!美術館で家具?って思う方もおられるでしょうが家具の世界も物語がいっぱいです!
正方形、円を基本のモチーフとするウィーン工房に代表されるデザインの椅子です。
その後の機械時代のデザインを予見させる歴史的意義の高いものといわれています。
が、それを見抜くのはまだまだ私には早いようです笑笑
個人的に、どこかベビーベッドを彷彿とさせます。
こちら倉俣史郎の代表作「ミス・ブランチ」
透明アクリルでできた椅子の中に真っ赤な薔薇(造花)を閉じ込めたロマンチックな作品。
テネシー・ウィリアムズ原作の舞台/映画「欲望という名の電車」の主人公の名前がこちらのタイトルの由来となっているそう。
下にうつる薔薇の影が美しいです!
にしても座り心地はどんな感じなんでしょ?
間違いなく背筋は伸びるでしょうね(笑)
他にも、マルセル・ブロイヤーの「クラブチェアB3」もありました!
こちら世界初のスチールパイプ椅子!
自転車をこいでいるときにハンドルから思いついたデザインだそう(笑)
天才は目の付け所がちがうなあ…
別名「ワシリーチェア」とも呼ばれていますね
バウハウスにてマルセルの教授だったワシリー・カンディンスキーのために作られたということからだそうです^^
アアルトの「パイミオチェア」なんてものも、実はその当時結核が猛威を奮っていた時代で、結核患者が座ると呼吸しやすいように設計されている逸品。
ぜひ座ってみたいリクライニングです。
現在よく見かけるデザインの家具も、歴史をたどってみると面白いものがいっぱいありますよ♪
ぜひそちらの方も行ってみて下さいね!
館内ゴミ箱がないとのことなんでペットボトルとか持ってこられた方とかは気を付けた方がいいかもです
こちらでもミューズが見守ってます!
そして館内には同じくヤノベケンジ作品のジャイアント・トラやんが眼を光らせています!
ではではまた明日~!