アサヒビール大山崎山荘美術館の春のコレクション

ウイスキーでもお馴染みの山崎蒸留所と最寄り駅同じくJR山崎駅より徒歩10分

なかなかに勾配のきつい坂を上り、趣のある短いトンネルを抜け、鳥のさえずりを耳にしながらさらにぐるっと坂を上り、そして辿り着くアサヒビール大山崎山荘美術館

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アサヒビール大山崎山荘美術館

もとは、関西の実業家である加賀正太郎の別荘として大正から昭和にかけ建てられました。

その後、加賀家の手を離れ所有者を転々としますが、老朽化していたこともあり山荘を壊してマンション建設の危機にも晒されます…!

しかしそこで救世主登場!

 

ニッカウイスキーの創業にも参画していた加賀は、病床に臥した際に自分亡き後にニッカの株が散逸してしまわぬよう、かねてより深い親交のあった朝日麦酒株式会社(現、アサヒビール)の初代社長である山本爲三郎(やまもと ためさぶろう)に株を託したそうです。

ちなみに、この山本爲三郎はマッサンで有名な竹鶴政孝を支援し続け、さらにはカフェスチルを初めて日本に導入したのも彼だそう。すごすぎる方…

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そしてその縁のおかげで、取り壊されそうだった山荘は美術館として生き返ることができました!

 

山荘の修復と共に、建築界の巨匠安藤忠雄設計による「地中の宝石箱」が新たに建てられ、1996年に開館されたそうです。

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外から見えるモネのある「地中の宝石箱」

 

館内は撮影禁止なので挙げられませんが、一歩足を踏み入れるとたちまちタイムスリップしたかのような感覚に陥ります。

洗練された調度品、特にランプや時計なんて本当に美しい佇まいでした。

ドアノブも繊細な彫りがなされていてため息でちゃいます。

 

そんなかつて加賀家が暮らした邸内で、大山崎山荘美術館所蔵の1000件から選び抜かれた68点による「コレクション、春ー所蔵作品による名品展ー」です!!

 

やっとタイトル紹介できました(笑)

長かったですね…笑

 

本館1F2Fでは、民藝運動にゆかりあるバーナード・リーチ(生誕135年)や、私も特に大好きな濱田庄司、それに富本兼吉河井寛次郎の作品。あとジョアン・ミロの彫刻。

そして今年で生誕120年を迎えるルーシー・リーの陶芸作品を展示

 

リーはウィーン出身の陶芸家で、20世紀後半のイギリスで精力的に活動していました。

この時代の芸術家は皆そうなんですが、ナチスの迫害から逃れるために辛酸を舐めていたようですね…

 

女性的で繊細な曲線美と、特に装飾も施すことなくモダンな釉薬での模様にキュンときました。

シンプルイズベストです

 

そして山手館(夢の箱)では、

シュザンヌ・ヴァラドンとその息子であるモーリス・ユトリロ、そしてジョルジュ・ルオーモーリス・ド・ヴラマンクパウル・クレーワシリー・カンディンスキー、彫刻はNYを拠点に活動していたイサム・ノグチを展示

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最近、ユトリロについての本を読んだばかりなんですが、哀しいんですよね。ユトリロの生涯って。

しかもその根本的なもととなった母と並んでいたので余計にジーンときちゃいました。

今度またユトリロだけについても書こうと思います。

 

ヴラマンクは元競輪選手でもあり、バイオリン奏者でもあり、文筆家でもありそして画家でもあるという超オールマイティーで、しかもすべて一流という。

面白いのは、競輪もそうですがバイク乗りでもある彼の作品はどれも風を感じるというところ!

雪景色」という作品があったのですが、駆け抜けてますね(笑)

絵を観てる人が風になったかのような視点です。面白い!

 

今回のメインビジュアルに選ばれているカンディンスキーの「コンポジション

音が聴こえてきそうな、というか聴こえてくる絵です♪

メロディーというよりかは、私には街中に溢れている音って感じでした。

 

 

安藤忠雄建築である地中の宝石箱(地中館)では、でましたモネさんです!

どこか、パリのオランジュリー美術館を彷彿とさせる曲線をえがいた壁にドンドンドン!と大きなキャンバスの3作品(睡蓮2作品とアイリス

部屋の真ん中に小さな椅子がおいてあるのでそこに座ってぼうっと浸るも良しです!

 

1914年~1917年の作とあるので、相次ぐ不幸が襲った時あたりですね。

白内障を患い、妻、長男が亡くなり、第一次戦争が勃発し家族が出征…

 

晩年期の作品がどれも大きいのは、白内障で見にくくても大きく描いたものを遠くから眺めれば何とか見ることができたからだそうです。

 

そしてモネの対面の壁には、アルベール・マルケポール・シニャックピエール・ボナールです。

 

ちなみにボナールは、日本かぶれのナビ派と揶揄されるくらいに浮世絵に夢中だったそうです(笑)

 

たっぷり堪能したあとは、2Fにある景色のいい大正ロマンなカフェで

今企画展とコラボしたケーキをちゃっかり頂きました♡

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爽やかなシトラスとストロベリーの生地にレモンジャムが最高!
ドライフルーツでステンドグラスを表現しているそう

山本爲三郎はリーガロイヤルホテルを建設した人物でもあることから、こちらのケーキはリーガロイヤルホテル京都による特製ケーキとなってます!可愛い!そしてどこまですごいんだ爲三郎!!

ステンドグラス工房で修業をしていたジョルジュ・ルオーにちなんでだそうです^^

もう一つはパウル・クレーにちなんだチーズケーキです!

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カフェのテラスからの眺め

平日ということもあったかもしれませんが、これだけの景観と所蔵品と空間でありながらお客さんは少なかったですね。

じっくり作品と対話する時間が持てました♪

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ではでは、最後までお読みくださった方ありがとうございました!

これにて今日は幼稚園閉園!

 

 

 

*1:カフェスチルとは、連続式蒸留機の一種の名称。この時のカフェスチルは現在も、宮城挟蒸留所にて稼働中!