フェルメールと17世紀オランダ絵画展に行く前に!
前回に引き続き今回もオランダのアーティストについて。
テオ・ヤンセン展を紹介したならば、こちらも紹介しないとです!
「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」
今回コロナ禍の中、開催が危ぶまれていた東京展から無事大阪にやってまいります!
まだ大阪展での作品目録が発表されていませんがおおよそ東京展と同じにはなるでしょう。
ということで、先取りとして注目ポイントを私なりにまとめてみます!
無かったらすいません!
フェルメールと17世紀のオランダ絵画展。
17世紀のオランダがひとつキーポイントになっていますね。
17世紀のオランダの背景として、オランダの黄金時代であったと共に、ヨーロッパで巻き起こった宗教改革がオランダにも勿論訪れています。
この宗教改革は画家や彫刻家にだけに視点を当てれば恐ろしいほど壊滅的なダメージを与えました。
なぜなら、今までカトリックの時代において画家の最大の収入源であった豪華な宗教画や祭壇画は、プロテスタントにとっては排除するべきものとなってしまった為に一気に活動の幅が狭められてしまったんです。
そして彼らが活路を見出し新しく切り開いたのがジャンル画、いわゆる風俗画です。
そして肖像画も多く描かれるように。肖像画によって人気がでた画家は比較的安定した生活を送れたとか。
今回も展示されるだろうフランス・ハルスなんかも肖像画で一躍名を挙げた一人ですね。
あくまで厳格に多少の盛りも厭わず威厳たっぷりにきらきらと描くのが肖像画だったのが、彼はその人そのものを絶妙にラフな感じで(構図も非対称で衣服もシンプル)内面の良さを自然に浮かびあがらせることのできる革新者でした。
そしてヤーコブ・ファン・ライスダール。
絵の専門化が進んだ当時のオランダで、彼は風景画の専門でした。
そして彼は自然の風景に自己の感情心情をうまく投影させ溶け込ませることに北方の画家として成功した画家なんです。
実際に見てもらったら分かると思うんですが、はっと目を見張るインパクトというよりかは、じんわりと見ているものの心に伝わり、根ざし、いつまでも印象に残るといった感じですかね。
ヤン・ステーンもぜひ注目してほしいです。
彼は農民の素朴な日常を賑やかに切り取ったり、大人数がお祝いの場で盛りあがっているさまをごちゃごちゃさせずにすっきりとまとめ、それでいてそれぞれの人に焦点を当てその人物像を軽やかに浮かびあがらせることができる観察眼優れた画家です。色彩の妙も素晴らしい。
が、今回出展されそうなリストは面白いですね。
ステーンの陽気さとはうって変わって静謐な母子像、そして聖書のシーンを切り取ったハガルの追放とカナの婚礼。後者の方ではステーンの多人物の書き分けを見受けられるかと思います^^
ステーンも紹介したならその義理の父親のヤン・ファン・ホイエンも!
美術史上、空の美しさを発見したのがこの時代のオランダ人画家たち。そして、このホイエンもその一人。
絵の中に空を描く画家たちは今までもいましたが、空を画面上に思い切って大きく配置し、ドラマチックな物語よりも身近にある自然をそのままメインに持ってくる画家はいませんでした。
またそれが人を惹きつけるのだということにも気付いたということですね。
そして何といってもフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」ですね。
前回日本にやってきた時とは違う姿で登場です!
しかも修復後の公開は、所蔵のドレスデン国立古典絵画館以外では日本が世界初!
ご存じの方も多いかとは思いますが、X線調査によって一部絵が塗りつぶされていることが過去に判明し、その修復を行っていたんですね。
そしてついに姿を現したキューピッド!
これでこの女性が読んでいる手紙の内容はラブレターだということが特定されたんです。
しかもキューピッドは仮面を踏んづけています。
仮面は嘘や欺瞞の象徴。それを愛のキューピッドが踏んでいるということは誠実な愛であることを語っています。
幸あれ!!
以前までこれはフェルメール自身によって塗りつぶされたと思われていたんですが、今回の修復作業過程において何と全くの他人が勝手に、しかもフェルメールの死後に塗りつぶしていたことが判明したんです…!
フェルメールより人気のあったレンブラントの作品っぽくし、売りやすくする為に誰かが命令を出したようなんですよね…
フェルメールは今でこそ超人気の画家ですが、当時はからっきし。
本人は、当初は義母の不動産収入や、宿屋、居酒屋、美術商などの副収入がたんまりあったので、画家としては年に2,3枚じっくりゆっくり描いているだけでやっていけてたんです。
(もはや画家が副業…)
しかし順調な生活も戦争により全ての収入が激減。もちろん絵は売れない。借金に次ぐ借金で破産、しかも子供は11人…。
Oh…
そんなフェルメールですがやっぱり革新的な画家でした。
どこがー?と言いますと、彼の絵は一目で分かりますよね。まずそれがすごい。
そして、丹念に緻密に描かれたものでありながらその結果生まれる堅さはなく、どっしりとした存在感は無くさずにふんわりと抜け感があるんです。
その両立はなかなかに難しい。奇跡の絵たる所以です!
フェルメールの絵は贋作(ニセモノ)が多いんです。
それは、ハン・ファン・メーヘンレンという人物がかなり関わっているともいえるんですが…それは今回置いておいて。
現在真筆(ホンモノ)と判明しているものは約30数点のみ。
まあそりゃ年に2,3枚のペースなら必然的にそうなんですが、とにかくレアなんですね。
しかも贋作事件や盗難事件に遭うことが多く、その内1点(「合奏」)は1990年に盗難に遭ってから未だ行方不明…。
本物を見る機会があるってとてつもない幸運なことなんですよ!
あぁ、フェルメールね。じゃないんですよ!
わかりましたか!フンフン!
そしてレンブラントも勿論来日していますね。
「若きサスキアの肖像」このあと奥さんになる方ですね。
「サスキアの肖像」― レンブラント・ファン・レイン | 世界の美術館
彼女は21歳でレンブラントと結婚しますが29歳という若さで亡くなってしまうんです。
レンブラントといえばこの光と影の効果的な描き方ですよね。
この絵においてもその効果が発揮されています。このサスキアの肖像は実際に私もまだ見たことが無いので非常に楽しみな一作です♪
私が見たことのあるレンブラントの作品からいくと、彼のその色彩の感覚は独特で、カラバッジョほど強い劇的な感はなく、かといってベラスケスほど明るいわけではない。
背景も漆黒!というよりかは焦げ茶~柔らかな黒、その中にあまり明るすぎることのない色彩を使うことでより幻想的に親近感のあるように浮かび上がってくるように思います。
均一ではない背景の色も、空気の動きや埃の漂いを感じることができるのかなあと。
他にもたくさんの素晴らしい17世紀のオランダを代表する画家の作品がはるばるやってきていますが、今回はこのくらいで…
あとは実際に現地で楽しんでいきましょう~!
皆さんが心に響く絵と出会えますように!
そうそう、静物画がたくさん生まれたのもこの時期です。
全ての物や位置が意味深で頭が痛くなってしまうかもしれませんが、大丈夫です。特に意味を見出そうとしなくて結構!
だって彼らは、主題が特に意味のないものでも絵画は素晴らしいものになるんだということを証明しようとして静物画を描きだしたのですからね!
ただ目に見えるものをそのままに描く。
色のついたグラスに光が反射するとどういう風に見えるのか、とかそんな感じです。
静物画は彼らにとっての実験場そのものだったわけです。
と考えると、段々静物画がいきいきとしてきませんか?
日々の生活の中で見過ごして見えていなかった世界を知るきっかけになればいいな^^
トドメのように書き足してしまいました。
このくらいと言いつつ長かったですね…