【続き】神坂雪佳 つながる琳派スピリット
お待たせしすぎたかもしれません
前回に引き続き細見美術館での「神坂雪佳 つながる琳派展」の続きになります!
さてさて今回は図案(デザイン)家としての雪佳についてです。
30代にはすでに京都にて図案家として重要な役割を担っていた雪佳。
特に明治30年代あたりに出版された図案集は神坂雪佳を語る上では欠かすことのできないものばかりです!
こちらの海路、グラスゴー万博への道中に船から見た波の様子を見ていて思いついた図案集だそう。グラスゴーもびっくりよ。
私が特に好きな滑稽シリーズ!
右の手が空に向かってあげられているデザインなのですが、その横に書かれている字、読めますか?
「宝の山式陶器 佛国セーブル製陶器 カネホシー氏考案」
カネホシーさん!笑 硬貨に手を伸ばしていたんですね(笑)
こんな感じでぱっと見はおしゃれなものばかりなんですが、よく見るとダジャレや雪佳の遊び心というかもはやいたずら心が込められた図案がまとめられたものです。
他にも、ワンコがフンをしているのを後ろで他のワンコがそのフンのにおいを嗅いでいるのがパターン化された可愛い図案も…(笑)
ぜひ見てほしい!
こちらも有名な蝶千種。
全50図からなる華憐な蝶だけの図案集です。
どれもこれも美しく驚かされるものばかりです。
神坂兄弟による共同作品です。
琳派の世界でも尾形光琳、尾形乾山の尾形兄弟による共作が有名ですが、こちらもそれを彷彿とさせる兄弟ですね^^
これもぜひ実際に現物を見ていただきたい美しさです…!
そして最も有名な図案集「ちく佐」「百々世草」
こちらはどちらも芸艸堂(ウンソウドウ)が所蔵しているものです。
まず芸艸堂さんについて少し。
こちらは神坂雪佳の図案集をほぼ手掛けた京都市中京区にある出版社で、現在日本で唯一の木版手刷りによる美術書を出版している貴重なところなのです!ヒィ!
ちなみにこの芸艸堂という名前はなんと富岡鉄斎が名付けたそう!
彼は幕末から大正に活躍した文人画家で、水墨画にして油絵のような濃厚さを感じさせる絵が有名です。
日本最後の文人ともいわれているのだとか。
そしてこの芸艸堂さんには貴重な版木(版画を作る時に用いる字や画を木に彫ったもの)がたくさん保存されてあり、葛飾北斎や若冲の版木もあるのだそう。
日本の美術を守り継承しておられる素晴らしいところなのです!
ありがとうが溢れちゃいますね!
そして「ちく佐」です。
3冊に分かれていて、1冊目2冊目は日本の伝統的なモチーフが多く波の表現が豊かな「加茂川」なんておぉ…っと思わず声が漏れてしまいました。
その後のお客さんたちも皆、おぉ…っと同じ声出されてました(笑)
3冊目は一気にモダンな香りがする内容に。
背景はべたっと塗られた色で区切られており、そこに白抜きされた植物のモチーフが美しく配されています。これがまた見飽きないんです。
嵯峨本好きは特に必見!
「百々世草」は雪佳の集大成ともいうべき3冊にわたる図案集です。
タイトルのももよ草はその後菊を表す語となります。
ちなみにこちらの題箋は富岡鉄斎が書いたそう。
先ほど紹介した芸艸堂には「百々世草」の原画があるんです!
しかもそれが今展では見れてしまうのです!!
琳派らしい画題や手法も盛り込まれており、いかにそれらを雪佳が自分のものにし、そして昇華させたかがひしひしと伝わってきて、こちらもいつまでも見ていたいと思う作品たちばかりです。
さらには、この中の「八つ橋」がなんと高級ブランドのエルメスの雑誌「LE MONDE HERMES」の表紙を飾りました!
しかも2001年にです!今なお世界の一流たちをも惚れさせる神坂雪佳たるや。
↓ぜひこちらで見てみて下さい♪
雪佳が図案を担当し、清水六兵衛作の「水の図向付皿」
左はこの皿に絵付けするための原案になります。
お皿の形も波打っていて楽しい作品です♪
なんと複製品ですがミュージアムショップに売られていました!
最後は雪佳晩年の図案集「うた絵」
これも大好きですね。ほっと力が抜けた軽やかさと静かな美しさがあります。
古今和歌集から二十五首を選び、それを芦手絵といわれる芦や水鳥や草花を仮名に見立てて絵の中に溶け込ませる手法で描かれています。
芦手絵は、平安時代に流行った画風です。
日本人のルーツを知る展覧会でもあるなあと。
日本人でよかった!って思えます。
ぜひぜひ、まだ行っておられない方は行ってみて下さいね!
では次は、佐川美術館で絶賛開催中のバンクシー展「バンクシー&ストリートアーティスト展~時代に抗う表現者の声よ響け~」について書こうと思います♪
お付き合いありがとうございました!